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16- D- 0570 201 6 年 10 月 11 日
信用金庫の 16/ 3 期決算の
注目点
信用金庫各庫の 16/ 3 期決算を踏まえ、株式会社日本格付研究所(J C R)の現況に関する認識と格付上の 注目点を整理した。
1. 業界動向
全国の信金 265 先の 16/ 3 期決算をみると、J C R が基礎的な収益力と評価するコア業務純益は 16/ 3 期で 9 期連続減少した。長期にわたる市場金利の低位推移と資金需要が盛り上がらないなか競合の激化などが貸出 金利回りの低 下を招き、収益の主要な圧 迫要因となっている。貸出 金利回りは 16/ 3 期で 1. 83%と前期 比 0. 10 ポイント低下した。13 年 4 月以降、日銀が市場から大量の国債を吸い上げるなどして長期金利の低下を 促し、16 年 1 月には「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入が決定され、イールドカーブ全体の金 利は押し下げられた。16 年 9 月の金融緩和の総括的な検証を経て、新たな金融緩和の枠組み「長短金利操作 付き量的・質的金融緩和」が導入されたが、このなかで提示された長短金利の操作目標は、現行の低い金利 水準を踏襲する内容となっており、貸出業務からの運用収益が主たる収益源である信金にとっては、引き続 き厳しい経営環境が続くとみられる。
このような環境下、貸出金利回りの低下に伴う収益へのマイナスの影響を打ち消すため、貸出残高の獲得 競争は、地域銀行などを含め、業態の垣根を越え、激しさを増しており、このことが利回り低下に一層の拍 車を掛けている。一方で、預金利回りは 16/ 3 期で 0.09%と低下余地は小さく、調達コストの削減による収 益下支え効果は限られている。
貸出残高(平残ベース)は 16/ 3期で 3期連続増加した。残高の増加ペースは、16/ 3期で前期比 2. 2%と 回復してきたものの、利回り低下の影響が大きく、貸出金利息は減少している。貸出残高の伸びは預金残高 の伸びを下回るため、預貸率(平残ベース)は 16/ 3 期で 49.3%と同 0.2%ポイント低下した。預貸ギャップ の拡大を背景に、資金運用における有価証券や預け金などへの比重が高まっている。収益力を維持していく うえで余資運用を強化していく重要性も高まっているが、こうした収益にも、利回りに下方圧力が加わり、 総じて、資金利益の減少基調に歯止めが掛からない状況が続いている。
一方で、最終利益ベースでは好決算が続いている。当期純利益はリーマン・ショック直後の 09/ 3 期に赤 字を計上して以降、7 期連続で黒字を確保。与信費用の低位推移と保有有価証券の売却益に支えられ、当期 純利益は過去4 番目に高い水準となった。16/ 3 期の与信費用は貸出残高対比10bp 内に収まり、金利低下や 期初の堅調な株式相場などを背景に、債券や株式で売却益を確保する動きも活発であった。
自己資本比率はバーゼルⅢの導入以降、13%台で推移している。内部留保の蓄積が進み、各種リスクに対 する耐久力も高まっている。
2. 決算動向
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結び増収となった先は少なくないが、貸出金利息の落ち込みを吸収できず、13 先が資金運用収益を減らした。 17/ 3 期はマイナス金利政策導入の影響が通期で反映されるうえ、預金保険料率の低下といった特殊要因もな くなるため、前期並のコア業務純益の水準を維持していくハードルは高いとみられる。
最終利益は 15 先合算で若干の増益。与信費用は増加した先が多かったが、貸出残高対比でかなり低い水 準となっている。与信費用比率(与信費用÷ 貸出平残)が最も膨らんだのは西武信金で 30bp 台であったが、 保守的な引当基準を導入した影響を除けば、与信費用はほぼゼロに近かったとみられる。保有株式の売却益 などで利益水準を大きく押し上げる先も散見された。
内部留保の蓄積が進む一方、リスク・アセットの拡大などの影響で自己資本比率は低下した先が多かった が、同比率は、最も低い先でも 8%台と規制上の所要水準に対してかなり余裕がある状況が続いている。
3. 格付上の
注目点
日銀による金融緩和が強力に推し進められるなか、資金運用収益への下押し圧力が強まり、資金利益が圧 迫される状況は当面続くとみられる。近時は、貸出残高の伸びが回復し、また比較的利幅の厚い個人向けの カードローンなどを伸ばす動きも広まっている。有価証券投資では投資信託の運用ウェイトを高める動きな ども顕著になっている。リスクテイクをコントロールしながら少しでも利幅の厚い資産を積み上げることで、 収益への下方圧力を緩和していくことが、格付先共通の課題と J C R はみている。
与信費用は全般的に低水準にある。金融再生法上の開示債権比率も総じて低下傾向にある。保守的な引当 方法の採用などにより、保全を強化する動きもみられる。当面は与信費用が高まる兆候はみられないものの、 個別にみれば、業況に懸念がある大口融資先にかかる信用リスクなどの不安材料もある。中小零細企業が主 たる融資先であるため、景況悪化局面では与信費用が想定外に膨らむリスクに留意する必要があるだろう。
総括すれば、内部留保の蓄積により厚みを増している資本が格付を下支えするであろうが、基礎的な収益 力の低下という克服すべき課題は残る。事業基盤の拡大などを通じて、収益力を維持しつつ、利益を着実に 積み上げている先には、前向きな評価もあり得るが、収益環境が厳しさを増すなか、利益の安定性が一段と 低下している先や資本対比で過大なリスクを取っている先などに格下げを検討するケースの方がやや優勢に なるだろう。
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(図表 1)主要財務指標 (単位:億円、%)
尼 崎 信 用 金 庫 岡 崎 信 用 金 庫 北 お お さ か 信 用 金 庫 京 都 信 用 金 庫
1 5 / 3期 1 6 / 3期 1 5 / 3期 1 6 / 3期 1 5 / 3期 1 6 / 3期 1 5 / 3期 1 6 / 3期 預 金 末 残 2 4 , 7 0 2 2 4 , 7 0 4 2 7 , 4 9 2 2 8 , 2 8 4 1 3 , 2 7 9 1 2 , 9 9 8 2 3 , 5 9 7 2 3 , 7 1 3 貸 出 金 末 残 1 2 , 2 2 1 1 2 , 3 6 5 1 5 , 3 2 9 1 5 , 4 9 6 6 , 4 1 2 6 , 4 3 5 1 6 , 1 6 3 1 6 , 6 3 7
経 常 利 益 8 3 9 5 1 0 1 7 1 2 0 3 9 5 0 6 6
当 期 純 利 益 6 1 6 6 7 6 5 7 1 4 2 3 3 5 4 8
不 良 債 権 比 率 5 . 6 4 . 7 4 . 5 3 . 8 9 . 6 8 . 8 5 . 9 5 . 7
自 己 資 本 比 率 1 7 . 7 1 7 . 1 1 3 . 4 1 3 . 1 1 0 . 5 1 0 . 8 9 . 0 8 . 2
岐 阜 信 用 金 庫 埼 玉 縣 信 用 金 庫 札 幌 信 用 金 庫 芝 信 用 金 庫
1 5 / 3期 1 6 / 3期 1 5 / 3期 1 6 / 3期 1 5 / 3期 1 6 / 3期 1 5 / 3期 1 6 / 3期 預 金 末 残 2 2 , 0 4 4 2 2 , 5 3 4 2 5 , 4 7 9 2 5 , 8 9 1 4 , 8 7 5 4 , 9 1 9 1 0 , 6 2 0 1 0 , 7 8 5 貸 出 金 末 残 1 2 , 8 5 0 1 2 , 9 8 1 1 4 , 5 3 5 1 5 , 1 9 0 3 , 1 5 9 3 , 1 1 7 4 , 4 2 8 4 , 5 5 8
経 常 利 益 8 8 1 0 2 7 9 5 1 2 5 2 4 3 1 2 4
当 期 純 利 益 7 4 8 9 5 9 3 7 1 7 1 8 1 9 1 4
不 良 債 権 比 率 6 . 3 6 . 2 2 . 3 1 . 9 3 . 0 2 . 7 4 . 4 3 . 4
自 己 資 本 比 率 1 0 . 5 1 0 . 8 9 . 5 9 . 3 1 7 . 3 1 7 . 9 1 3 . 4 1 2 . 7
西 武 信 用 金 庫 瀬 戸 信 用 金 庫 東 濃 信 用 金 庫 苫 小 牧 信 用 金 庫
1 5 / 3期 1 6 / 3期 1 5 / 3期 1 6 / 3期 1 5 / 3期 1 6 / 3期 1 5 / 3期 1 6 / 3期 預 金 末 残 1 5 , 4 5 2 1 6 , 4 3 6 1 8 , 6 4 0 2 0 , 6 2 4 1 0 , 3 2 3 1 0 , 4 2 7 3 , 7 3 8 3 , 8 3 8 貸 出 金 末 残 1 1 , 2 6 8 1 2 , 5 0 0 8 , 6 2 5 9 , 0 6 6 5 , 1 8 1 5 , 2 6 9 2 , 1 3 2 2 , 1 9 1
経 常 利 益 9 4 6 0 4 7 5 1 3 9 3 5 2 5 2 4
当 期 純 利 益 6 4 7 4 3 6 3 5 2 7 2 6 1 7 1 7
不 良 債 権 比 率 2 . 3 1 . 7 4 . 5 4 . 1 4 . 2 3 . 6 3 . 4 3 . 5
自 己 資 本 比 率 1 0 . 1 1 0 . 1 1 5 . 5 1 5 . 4 1 6 . 7 1 6 . 8 2 6 . 1 2 5 . 9
広 島 信 用 金 庫 碧 海 信 用 金 庫 稚 内 信 用 金 庫
1 5 / 3期 1 6 / 3期 1 5 / 3期 1 6 / 3期 1 5 / 3期 1 6 / 3期 預 金 末 残 1 2 , 5 2 7 1 2 , 9 7 4 1 8 , 5 8 4 1 9 , 2 2 0 3 , 9 9 9 4 , 0 6 7
貸 出 金 末 残 8 , 4 7 1 8 , 7 7 4 9 , 7 0 4 1 0 , 0 6 4 8 9 3 8 9 1
経 常 利 益 5 3 5 8 6 8 5 4 1 5 1 6
当 期 純 利 益 3 7 3 9 4 8 4 1 1 1 1 1
不 良 債 権 比 率 3 . 6 3 . 3 3 . 5 3 . 3 5 . 3 5 . 2
自 己 資 本 比 率 1 2 . 0 1 1 . 9 1 8 . 7 1 7 . 7 6 4 . 0 6 3 . 0
※ 不良債権比率は金融再生法開示債権比率
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【参考】
発行体:尼崎信用金庫
長期発行体格付:A 見通し:安定的
発行体:岡崎信用金庫
長期発行体格付:A 見通し:安定的
発行体:北おおさか信用金庫
長期発行体格付:BBB+ 見通し:安定的
発行体:京都信用金庫
長期発行体格付:A - 見通し:安定的
発行体:岐阜信用金庫
長期発行体格付:BBB+ 見通し:安定的
発行体:埼玉縣信用金庫
長期発行体格付:A - 見通し:安定的
発行体:札幌信用金庫
長期発行体格付:A 見通し:安定的
発行体:芝信用金庫
長期発行体格付:A - 見通し:安定的
発行体:西武信用金庫
長期発行体格付:A + 見通し:安定的
発行体:瀬戸信用金庫
長期発行体格付:A - 見通し:安定的
発行体:東濃信用金庫
長期発行体格付:A - 見通し:安定的
発行体:苫小牧信用金庫
長期発行体格付:A 見通し:安定的
発行体:広島信用金庫
長期発行体格付:A 見通し:安定的
発行体:碧海信用金庫
長期発行体格付:A + 見通し:安定的
発行体:稚内信用金庫
長期発行体格付:A 見通し:安定的
■留意事項
本文書に記載された情報は、J C Rが、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また
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